鈴鹿300KmのレースウィークはPLOTチームにとって衝撃的なアクシデントから始まった。
PLOTの第2ライダー、安田毅史選手が、金曜日午前中の特別スポーツ走行でGSX-R1000を初ライド。 順調に慣熟走行を重ねていたが、走行時間終了間際に、表のストレートで前を走るRSV4がガス欠によりスローダウン。 全開の安田選手は避け切れずに追突し、200mも飛ばされ、車両はコース上に舞いフロントから地面に激突して大破。 まさに悪夢だった。 あれほどの大事故で安田選手のけがが右肩の脱臼だけで済んだのは奇跡的だった。
ちなみに、噂によると、ガス欠したRSV4のライダーは軽症で車両の破損も少なかったらしいが、これも他チームの人から聞いた話で真相は不明。 また、当該チームからPLOTに対しての説明や謝罪等は一切なかったらしい。 納得いかない。
大破して戻ってきた車両は見るも無残な状態だった。 私たちは、電装品の破損状況を確認しながら一つ一つ部品や配線をはずしていった。
マレリのECUは小さな擦り傷はあったものの作動は問題なし。 2Dのデータロガーは、外傷もひどく、最後のデータをダウンロードした後メモリを認識しなくなった。 2Dのダッシュパネルは全損。
やっぱり2台作っておいて良かった。
こんなことでくじけている場合ではない。今回のレースウィークでは、いろいろなテスト項目や確認項目もこなしていかないといけない。300Kmはレースではあるが、8耐に向けての絶好のテストチャンスだ。
マレリのECUでは、燃料消費量を1cc単位でカウント出来る。要はインジェクタ容量から燃料マップに照らして実走行での燃料消費量を算出しているのだ。 このデータを2Dのデータロガーで記録し、そのデータをロガーのソフト上で”Cal File” と呼ばれる演算機能を使って1ラップあたりの燃料消費量を割り出す。 こうすれば、ラップタイムと燃料消費量の相関関係を導き出すことが出来る。
一般的にラップタイムが良くなれば、燃料消費量は増加する。 しかしその増加指数はライダーによって異なるし、同じライダーでも乗り方によって変わってくる。 インアウトを繰り返している中での2分10秒0とロングランの2分10秒0では燃料の消費量はかなり違ってくる。
また、燃費が比較的良いライダーとあまり良くないライダーとの燃料消費量の差をデータで比較すると、いろいろなことが分かって非常に興味深い。
燃費の良し悪しは結局1周あたりの総エンジン回転回数に大きく依存している。燃料消費量のデータがあると、1周の中のどこの区間でどれだけの燃料消費をしているのかが明確に分かるため、燃料を絞るべき箇所、ライダーにアドバイスすべき箇所がクローズアップできる。
しかし今回のレースウィークでは残念ながら十分なデータを収集することが出来なかった。 今後数回予定されているテストを有効に生かし、8耐に向けて準備を重ねていく必要がある。
レースウィークは、その後残りの1台で、出口選手がセットアップを重ね、予選5位。
決勝レースは微妙なトラックコンディションの中、出口選手が1週目トップでホームストレートに戻る快走。しかし天候が二転三転する状況の中、7位走行中の19週目のスプーンで転倒し残念ながらリタイヤとなった。
レースの詳細は↓のPLOTのウェブサイトでご覧下さい。
http://www.plotonline.com/plotracing/report/20100614191820.html
というわけで、この後の8耐事前テストに向け、車両の補修、改良はまだまだ続く。
気がついたら6月5日を最後にコラムを全くアップしていなかった。スケジュールを見返すと、ちょうどそのあたりから耐久モードに突入していた。
今シーズンは”PLOT FARO PANTHERA”チームのJSB車両をサポートしており、シリーズ戦だけでなく、鈴鹿300Kmと8耐の耐久レースも同様にサポートしている。
オートポリスのレース後 (荒天のためレース自体はキャンセル) チーム監督と話し合い、今シーズンはメインカー、Tカーの2台をキッチリ準備しようということになった。 とはいうものの、プライベートチームでは特にスケジュールや予算、工数などの点で2台をキッチリ準備するのは並大抵のことではない。 それも”きっちり”というところがポイントで、2台準備できても2台ともちゃんと走らせられる状態にしておけるかどうかが重要で、Tカーが”部品はぎ取り号”になってしまうことが往々にしてあるからだ。
私たちレイクラフトの作業はというと、まず、ハーネスを製作しなくてはならない。
使用するECUはマレリのMARVEL、データロガーは2D、ダッシュパネルも2Dと基本的な電装品は全日本の前半戦で使用してきたものをそのままキャリーオーバーする。 ハーネスは1台分は新設、もう1台分は前半戦で使用していたものを一部耐久用に改修。
オートポリスから鈴鹿300Kmまでは実質2週間しかなく、ハーネスの製作は苦難を極めた。
新設ハーネスの”仮縫い”(車体に沿わせてハーネスの長さや納まりを確認する作業)を行ったのが6月4日、レースまで残り1週間を切っていた。
ところで、最近の車両はメーカーを問わず”土地代”が高い。つまり、ECUやデータロガーを搭載するスペースを探すのがとても難しくなってきている。
GSX-R1000は幸いにもシートレールのスペースが比較的広いのと、PLOTのファブリケーションのセンスの良さできれいに納まった! ノーマルの位置から移動させたのは、フュエルポンブ・リレーと、スタータ・リレーのみ。邪魔だったウィンカー・リレーは撤去。 加えてマレリのMARVELはラムダアンプが内蔵されているので、別でアンプを取り付ける必要もなくスッキリ。 2Dのデータロガーが省スペースなのは言うまでもないが、このロガーでCANが160チャンネル、メモリは1GB。
これで、鈴鹿300Kmに、2台体制で参戦するのに何とか間に合った。
今年は300Kmの事前テストがなく、ぶっつけ本番!
ついに届きました。Ninja250R用のプラグインECU!
当サイトでの正式リリース前にこっそりご紹介しちゃいます。
まるで抹茶キャラメルのようなおいしそうなルックス。
そうなんです。Ninja250R用のプラグインECUは何と本体がライムグリーン、そして、裏を返すと流し込んである樹脂までもがグリーンと、ライムグリーン・フリークにはたまらない仕上がりになっています。
そして、当然のことながら、プラグインECUだから、純正のECUをはずして付け替えるだけで装着完了。本体サイズも純正ECUとほぼ同じだから、トレイ側の耳を一箇所取り除けば納まりも問題なし。
さて次はいよいよ汎用ECU導入の儀式。ドキドキの火入れ。
と思ったらあっさり、あまりにもあっさり、ブルンとエンジンがかかりました。ちょっと気が抜けました。
いくらプラグインECUとはいえ、”こんなに簡単にエンジンかかっちゃっていいの?!?!?” いいんです。これがプラグインECUの極意なのです。
ソフトウェアも、ビギナーにピッタリな”USER”と、もっと突っ込んでセッティングしたい方のための”PRO”の2タイプが用意されています。
詳しい仕様、価格は近日中に当サイトの”Products”と”News”のページで発表予定です。
そんな正式リリースまで”待てない!”という方は、mail@raycraft.jp まで直接お問い合わせ下さい。
最近、ODA米を購入している。
ODAといっても政府開発援助のことではなく、ST600クラスでエスパルスドリームレーシングチームから全日本ロードレース選手権に参戦している小田茂昇選手に関係するお米なので、これは”オダマイ”と発音するのが正しい。
彼は、レース活動の傍ら地元長野で米作りをしている。”はぜ掛け、天日干し”にこだわったお米だそうで、いつもおいしいお米を探している私にとっては触手が伸びないはずがない。 しかし、私がODA米を買う理由はこれだけではない。
レースの活動資金やスポンサー獲得の一助として、自分が丹精込めて作ったお米を販売するというそのアイディアが気に入ったからだ。
プライベーターが仕事をしながらレース活動を続けることはそう簡単なことではない。レースは本当にお金がかかる。かといって、スポンサー獲得も同様に容易なことではない。
一般的にパーソナルスポンサーの獲得には、チームやライダーの名入りTシャツの販売やステッカの貼付などのオーソドックスな手法はあるが、スポンサーにとってのフィードバックという点では訴求点が甘い感じがする。一方、お米という具体的な品物が得られるというフィードバックはスポンサーにとっては結構満足度は高い。
(と、えらそうなことを言ってしまったが、実は私の購入しているのは、レース活動寄付金込みのスペシャルラベルを貼った支援米の方ではなく、通常のODA米なので彼のレースのスポンサードにはなっていない・・・)
いすれにしても、少しでも多くのライダーやチームに長くレース活動を続けて欲しいという気持ちに変わりはない。
ところで、ODA米はマジでおいしい。炊き上がったときのごはんのツヤが違う気がする。
興味のある方は↓こちらのサイトへどうぞ。
http://blog.goo.ne.jp/mosyo73/e/b52b74d0c236d27acb6106df8627f291
今回は、レイクラフト恒例、GW連休中のスペシャルプロジェクトについての話。
現在、 deLIGHTにてTT1レーサーレプリカプロジェクトが着々と進行していることはご存知の方もおられると思うが、この車両にはマイクロテック社のプラグインECUであるM197と、同じくマイクロテック社のラムダアンプM163、そして2Dのデータロガーを搭載している。
この車両は、deLIGHT社長でありライダーでもある片岡氏がイタリアで購入し、なんと手持ち!で持ち帰ったフレームをベースに、DS1000のエンジンを載せ、TT1レーサーレプリカを仕立てるという、書いているだけでもワクワクしてくるようなプロジェクトである。そして、deLIGHT Dream Team のさらにすごいところは、TT1レーサーレプリカであるにもかかわらずメーターは1098のメーターを使用するという、ある意味、電気屋にとってはチャレンジングな仕様でもあるが、これが可能なのもCANのたまものである。
GW中は、レイクラフトの主任技師が配線製作に没頭、連休明け直後に車両に前述の電装部品を装着する段取りとなった。
deLIGHT Dream Teamはこの車両の前にも昨年ポールスマートベースのレーサーを製作しており、こちらの車両にも今回同様、プラグインECUのM197とラムダアンプM163、そして2Dデータロガーを搭載し、メーターも1098のメーターを使用している。
ただし今回はデータロガー関係のセンサー部品をいくつか新たに追加装着した。
まずは、前後のブレーキ圧センサー。 このセンサーを取り付けることで、ライダーがどのタイミングでどのくらいブレーキを掛けているかを知ることが出来、サスペンションのストロークセンサーのデータと合わせて見る事で、車体の姿勢変化のきっかけや動きをさらに詳しく知ることが出来る。
もうひとつは、クラッチ圧センサー。 ライダーがクラッチをどの様に使っているかということは、以外に知られていない貴重なデータである。クラッチの使いかたを把握することで、減速時の駆動状態を知ることが出来るようになる。
TT1レーサーレプリカはすでにシェイクダウンを完了し、今月末のレースデビューに向けて着々と準備を重ねている。