その日、スポーツランド菅生は秋晴れのきれいな青空が広がりました。
朝方は少し肌寒さもありましたが、これからのスポーツ走行を控え期待と不安で体温は否応なく上昇してゆきました。
今日は、いよいよMecTronik社製ECU MKE7を積んだYZF-R1の完検走行です。
皆さんもご承知の通り、来シーズン2020年から全日本ロードレース選手権にST1000クラスが新設されます。
10月上旬にはMFJから正式に技術仕様についてもリリースがありました通り、ECUについてはST1000用MFJ部品公認ECUへの変更が認められます。
レイクラフトでは昨年より販売を開始したMecTronik社製ECUであるMKE7(エムカッパイーセブン)で各メーカーのスーパーバイクでの適合とセットアップを進めてきました。MKE7についてはこちらから⇒MKE7
ヤマハYZF-R1については、今年6月からプロジェクトをスタート。MecTronik社製ECU MKE7を搭載し、始動性の改善、ベースの燃料マップや点火時期のセット、シフターのフィーリング調整、出力チェックなど、仙台のフクダテクニカさんのご協力を得てシャシーテストなどを重ねてきました。
そしていよいよこの日、完検を迎えました。
テストライドをお願いしたのは、これまでシャシーテストなどでも協力して頂いていた秋吉耕佑ライダーです。
テストで使用するYZF-R1の車両は全くのスタンダード仕様、タイヤもブリヂストンの市販品でこの日のテスト開始時点ですでに30周前後走行している状態のタイヤです。
スポーツ走行は午前中1本と、午後4本の合わせて5本でトータル78ラップ走行を行いました。
そして驚くことに、午後の2本目の走行では1分31秒台前半のタイムを連発、ベストタイムは1分31秒19を記録。この時点でこの日だけですでに40ラップ(トータルでは70ラップ前後)走行しているタイヤでこのタイムを叩きだしました。タイヤをフレッシュにすれば1分29秒台も現実的に見えてくる状況です。
次にダッシュディスプレイに関してですがその時のダッシュディスプレイの表示がこちら。
今回テストに使用したダッシュディスプレイはアメリカのAEM社製のダッシュで、GPSを使用したラップタイムを表示し、実走タイムの他に予測タイムや一定区間ごとにベストタイムとのタイムギャップを表示してくれます。
画面中央に緑文字で+0.00と表示されている部分が走行中にプラスやマイナスの数値で、ベストタイムに対する一定区間ごとのタイムの上下をライダーに知らせてくれる”ヤル気”ディスプレイとなっています。このディスプレイについてはまた別の機会に詳しくご紹介します。
ちなみに、この日の完検はあくまでベースセットの確認なので、秋吉選手のコメントに沿ってエンジンブレーキの調整は少し行いましたが、トラクションコントロール(以下TC)やウィリーコントロール(以下WC)はすべてOFFの、制御はいわゆる”素(す)”の状態での走行です。
タイヤをフレッシュにすることに加えTCやWCのセッティングも進めれば安全に1分29秒台で走行できるのではないでしょうか。またこのMKE7は内蔵のIMUでリーンアングル計測が可能なので、リーンアングルを考慮したTCのスリップターゲットが設定でき、きめ細かなセッティングが可能となります。
ストック仕様の車両で、尚且つ履き倒したタイヤでこのタイムはさすが秋吉選手です。
そして、MKE7 も十分にその性能の高さ、耐久性、信頼性を確認することが出来ました。
来シーズンのST1000クラスへのECUとして準備は整いました!