8時間の長い戦いが終わった。 結果は4位。 この結果をどう捉えるかはひとそれぞれだろう。
昨年、表彰台圏内を快走しながら最後の最後でスローパンクチャーにより順位を5位に落としたプロトにとっては表彰台は手の届きそうで届かないpipe dreamに終わった。 それだけに今年も一時、表彰台圏内を走行していたときには、もしかしてという気持ちがなかったといったら嘘になる。
しかしここまでの経過を冷静に振り返ったとき、この結果は決して不運でも、また悲観することもない非常に上出来な内容だったと思う。
まず、上位3台の顔ぶれを見てみよう。1位ハルク・プロ、2位ケイヒン・コハラレーシング、3位TSRと、いずれもホンダ、それもワークス仕様の車両を使用していたチームだ。 そして優勝候補の筆頭であったヨシムラをも凌いでPLOTはスズキ勢でトップの4位。 これは特筆すべきことだ。
次に周回数を見てみよう。 トップのハルク・プロは215周、2位が214周、3位が213周、そして4位のPLOTは212周でトップからわずか3周遅れ、3位のTSRともタイムで1分50秒ほどしか差がない。 レース中の各チームのベストタイムや、タイムベースを考慮したとき、思いのほか上位とのギャップが少ないことに驚かれる方も多いのではないだろうか。 耐久がいかに”Running Strong”が大切かが分かる非常に良い例だといえる。 しかも今年のレースは、一度もペースカーが入ることもなく、また赤旗が出ることもない、非常に淡々としたレースで、だからこそこの結果はトリックのない純然たる実力の結果と思って良い。
さらに、今年は非常にコンディションが厳しかった。 レースウィーク中は連日35℃を上回る猛暑、レース当日も同様で、路面温度も60℃を超えた。 ライダーにとっては体力的に非常に厳しい状況だった。 そして、PLOTのライダーは出口選手も安田選手も怪我が完全に治ってはおらず、この厳しいコンディションの中でその点がボディブローのように時間の経過と共にライダーを苦しめることになった。
しかしこの点も、見方を変えれば、300Kmで二人とも負傷し、その後のテストもままならない時期があったことを考えればここまで来れたのはある意味幸運、そして、消耗しきった二人を最後に救ったのが第3ライダーの若い児玉選手だったという点もPLOTに運があった証拠だと思う。
そして、この結果を支えたのが、PLOTのチームスタッフの働きだ。
8耐でのチームスタッフはPLOTの開発センターの若手社員で構成されている。 常時レースを担当しているメカニック2人を除いては、皆、8耐の時だけ召集されるメンバーなのだが、彼らはプライベートチームとは思えないすばらしい活躍ぶりで、ピットワークをはじめとした耐久に必要な作業をキッチリこなす、素晴らしいスタッフだ。 私たちとリンクする部分について言うと、給油時の燃料の計量、残量チェックは非常に正確で、燃費を管理する上で非常に信頼のおける体制になっている。
振り返って私たちレイクラフトの働きはどうだっただろうか。
実は私たちには残念だった点があった。 それは想定タイムの見積りより実際のラップタイムが遅く、結果的に燃料消費量が想定よりも少なくなってしまった。 これはつまり、もう少し1周あたりの燃料を増やすことが出来たということで、あれほど数cc単位で燃料を絞っていたのも徒労に終わってしまったし、想定タイムの精度と燃料消費量とのバランスを見極めることの重要性が課題となった。 レースタイムを想定したロングランが出来ていなかったことも悔やまれる。
8耐はいつもいろいろな収穫も課題も与えてくれる。
普段の生活の中で、これほどの長い緊張感と興奮と充実感と時には落胆を与えてくれるものがあるだろうか?
スプリントのレースも好きだが耐久にはまた格別の高揚感がある。
最後に、PLOTのGSX-Rには特別な部品が投入されているなどと、まことしやかな噂を耳に挟んだが、ここで完全否定しておきたい。 車両を見れば一目瞭然だが、スイングアームもリンクもすべてオリジナルだ。